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狙われる日本人

11月半ば、折しもパリは、暴動騒ぎで日本のニュースでも連日放送されていた頃、その陰に隠れるように日本人を対象とした悪質な強盗事件が頻発していた。
 その日、夕方18時過ぎ、M氏は日本から商用で訪れた知人(53歳女性)をCDG空港まで自家用車で迎えに行き、後部座席(運転していたM氏の後ろ)に乗せ、高速道路1号線をパリに向かって走っていた。ペリフェリック(環状線)に合流するという直前、渋滞でのろのろ右車線を走っていたが、突然、後部右側の窓が、ものすごい音をたてて割れ、ぬーっと伸びた黒い手が、後部座席に置かれていた客人のボストンバッグを奪ったのだという。犯人は、手にもっていた石のようなもので窓ガラスを破ると、場所をあらかじめ知っていたかのようにバッグを奪い取り、高速の塀を乗り越えて逃走した。その間約3秒。M氏は語る。「バイクでも突っ込んできて事故を起こしたのかと思いました。一瞬のことなので、何がなんだか全く分かりませんでした。犯人の顔?そんなの見る間もないほどでしたよ。それに黒い覆面と黒い手袋で完全武装していましたから。まあ、体つきや行動からすると若い男でしょうが、完璧にプロの仕業でしょうね」
 すっかり動転してしまった客人をなだめつつ、そのまま17区の警察に直行したが、派手に壊された車の窓を見ても警官達は眉ひとつ動かさなかったという。ただ保険のための書類をタイプして「VOILA!(ほらっ)」でおしまい。いくら保険が適用されたって、心に受けた傷まではカバーしてくれない。客人はそれから2日間眠れず、仕事の書類を全部失ったため折角のパリ滞在が意味のないものになってしまった。
 後日、M氏は、被害にあった場所や時間や手口が、最近頻発しているということをさまざまな人から聞いて驚いた。去年まで10年以上も旅行会社に勤めており、時には1日に何度も空港に行っていたというのに、今まで全く聞いたことがなかったパターンだったからだ。「これは、日本人の個人客にねらいを定めたグループ組織だと思います。だから大型バスやタクシーは狙われていないようです。AFやJLの到着時刻も調べてあると思いますし、ちょうどラッシュ時で、車が動かないのも計算されているんです。ひょっとすると空港から対象人物は付け狙われているのかも知れません。携帯で連絡を取り合いながら、対象を見つける係と、実際に行動を起こす係との共同作業かもしれません。いずれにしても犯行手口がだんだん攻撃的になってきていますし、相手も巨大組織化している恐れがあります。ただ被害を最小にとどめるためにも、貴重品は外から見えないところに隠しておいたり、左側の車線を走ったり、客であっても助手席に乗せたりなど、工夫をしたほうがいいと思いますね。防犯スプレーとかアラームなどできれば武器も一つぐらい用意しておいたほうがいいかもしれません(笑)。本当に残念なことですが、警察は何もしてくれません。在仏25年目にして、自分の身は自分で守らなくてはということを痛感させられました」
 パリにあこがれを抱いて訪れる観光客を減らさないためにも、また、フランスに住む私たちがもっと暮らしやすくするためにも、どうかM氏の体験を無駄にしないようにしたいものだ。(M氏とはうちの夫のこと。書き方がインタビュー仕立てでわざとらしいですが、実話です!この原稿は日本人新聞OVNIに投稿し、翌月抜粋して掲載されたもののオリジナルです)



 


 



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Author:ikuko
栃木県宇都宮市出身。1993年2月よりフランス在住。現在パリ郊外に住んでいます。

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