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私的比較文化論~カフェ文化・BAR文化

 題名からして大げさに構えてみたが、フランス、スペインの生活を語る上で欠かすことのできない「カフェ」「BAR」を比較することで、2つの国の文化を掘り下げて考えてみたい、とある日突然思った。この2つの国はお隣同士なのに結構違うことが沢山あってその大きな違いの1つが「カフェ」「BAR」の違いだと強引にも思ってしまったからだ。あくまでも私的意見として御笑覧いただきたい。


オデオンのカフェカフェドゥマゴ

 まずはフランス。「カフェ」という言葉から連想されるのは、どちらかというとインテリ層の人たちや芸術家達の社交場であり議論の場というようなイメージである。もちろんそれは場所(地区)によっても時間帯によっても違ってくるのだが。朝の6区のサンジェルマン界隈のカフェなんて行ってみると、見るからに自由業、もしくはマスコミ関係風、芸術家風の生活レベルの高そうな人達がパイプをくゆらせながら新聞を読んでいたりする。マダム風の人のファッションも、ア・ラ・モード。小物1つ見てもお金がかかっているのが分かる。なんかちょっと違~うこの人達☆みたいな感じ。もちろんパリだって広いから中には労働者の溜まり場カフェもあるだろうし、おのぼりさんが入るカフェもあろう。しかし、「カフェ」といってまずパッと連想されるのは、私的にはこんなちょっとスノッブな感じがある。 カフェの歴史を紐解いてみると、1689年創業の「Le Procope」が、パリ(世界)最古のカフェということだ。ここはオデオンに近く、フランス革命下に思想家達が溜まり場にしていたという歴史的な場所だ。日本だったら居酒屋か、秘密のアジトだろうか?カフェというのが単にコーヒーを飲むための場所でないのがここからもうかがえる。プロコープの看板プロコープの記念碑
 またカフェのもう1つの役割は、町の避難場所といったら大げさだが、「トイレ」であり、「電話」であり、「水」である。カウンターの途切れた向こう側にはたいてい地下に続く階段があって、そこを降りていくとトイレがあり、コインが使える電話室があるのが一昔前のカフェだ。最近はほとんど誰でも携帯電話を持っているため、カフェのコイン電話も滅多に見なくなってしまったし、トイレも随分きれいになリ、普通の洋式トイレが主流になってきた。しかし「カフェのトイレ」といって真っ先に頭に浮かぶのは今は大分減ったが、トルコ式のしゃがむタイプで、水を流すとそのあまりの勢いで靴がびしょびしょになってしまうようなもの。電気も節約のためか、ドアを閉めてカギをかけると自動的にスイッチが入るようになっているようなものが随所にあり、慣れない時は電気のスイッチがないので真っ暗なトイレに超あせったものだった。またいまだにいちいち店の人にジュトンというコインをもらわなければ入れないようなトイレや、ちょっといい場所だと有料のものもある。 また「水」というのは何かというと、トイレと水はどんな人に対しても無料で提供すべしというカフェの決まりがあるそうだ。実際、私は目の前でカフェの主人が、ふらりと入ってきた男に要求された水道水を黙ってコップに入れて渡していたのを見たことがある。つまり理屈だけでいえば、どんな人でも、カフェに入ってトイレを借り、水を飲ませてもらえるということだ。なんて大らかなことだろう。6区のカフェマレ地区のカフェ
 さて今度は内容に移ろう。フランスのカフェの大きな特徴の1つにカウンターと座席での「値段」の違いというのが挙げられると思う。コーヒー1杯を例に取ると、現在、カウンターで飲むと1ユーロ10とか20ぐらい、これが席に座った途端、倍の値段になるのである。確かにギャルソン達の手を煩わせるかもしれないが、それでもいきなり倍になってしまうのはやり過ぎなような気がする。ま、あくまでも個人的な意見だが‥‥。(値段のことだけでもなく、私はカウンターで飲む方が多い) そして肝心の飲み物だが、カフェの一番の代表選手はやはりコーヒーだろう。「アン カフェ スィル ヴ プレ(コーヒーお願いします)」と言うと、出てくるのはデミタスカップに入ったエスプレッソである。これは断然イタリアンのブランドの方が美味しいと思う。「カフェ セレ」といったら更に濃~いのが出てくる。デミタスに半分ぐらいの量。「カフェ クレーム」は泡立てた暖かいミルク入り、「ノワゼット」といったらカフェに冷たいミルクが少量入ったもの。そんな所が主流で、アイスコーヒーはないし、紅茶は普通のカフェだとティーパックで出てくる(しかも高い!)のでお薦めしない。美味しい紅茶が飲みたければサロン ド テに行くしかない。その他の温かい飲み物はショコラぐらいだろうか。冷たい飲み物はジュース、コーラ、ミネラルウォーター、オランジーナなどの他はアルコール類。朝からビールを飲んでいる人もいる。 


 カフェに座り、何かを頼めば、あとは誰もあなたを邪魔する人はいない。ギャルソンが交代する時に、先にお金を払って欲しい、と言いに来ることはあるけれど、どんなに長く居座ってもそんなに長居されるのは迷惑だ、みたいな顔はされないし、放っておいてくれるので有難い。また何度か通ううちにギャルソンが顔を覚えてくれれば、そのうち「ボンジュール」という挨拶とともに向こうから握手の手を差し出してくる。そうなったらしめたもの。もうあなたはそこに認知されたということ。そんなカフェが何軒かあるだけでフランスの生活はちょっと変わってくるはずだ。  


さて一方のスペイン。これは何といっても「BAR(バール)」だ。町のあちこちにあり、たいていどこのBARのカウンターにも男達が何人か陣取ってビールを飲んでいる。カウンターに立っているのも圧倒的におやじが多い(ような気がする)。女1人で、はじめて入るBARのカウンターに立つ、というのは結構勇気を要する。(外国人だと尚更!)でもめげずに入ってカウンターの上を見ると、小さなガラスケースがあって、朝だとクロワッサンやドーナツや見るからに甘そうな菓子パンが、昼にはスペインオムレツや、小さなたこの酢の物や、エビのマリネのような美味しそうなつまみが並んでいる。サラミやチョリソーもカウンターの上からぶら下がっているし、見ているだけで何か頼んで食べてみたい☆という要求を抑えられなくなる。みんな当然のように立ち飲み。(でも席に座っても値段は一緒!)タバコの吸殻やオリーブの種は平気で床に捨てるので、床はゴミだらけになっている。BARスロットマシーン
 また大抵のBARにはスロットマシーンのようなゲーム機が置いてあり、当たるとお金が出てくる。賭けゲームも合法なのだ。タバコの自動販売機が設置してある店も多い。店の中はタバコの煙と喧騒。(2006年の1月から、それでも100㎡以上のカフェは喫煙席を設けるか、換気扇などを十分配置するよう義務付けられた。それ以下の大きさの場合は、主人の采配で決めるという) スペイン人の男達はみな自分の行きつけの店を持っている。家でもコーヒー自体は飲めるのだ。でも毎日わざわざBARに通う。そこにはいつも決まった常連の仲間が待っていて、タバコを吸いながらいつまでもカウンターに立ったままでとりとめもない会話をする。それは彼らにとってはなくてはならない日常の一部であり、オアシスのようなものに違いない。 女達にとっては‥‥というと、BARよりも最近ではコーヒー専門店のような店やフランスのカフェに近いような店、あるいは立ち飲みスタンドのようなもっとカジュアルな店が沢山できてきた。また補足だが、スペインの飲食文化は今日、かなり南米人やアジア系(特に中国人)に担われてきつつあるように思う。 さて、BARの内容も見てみよう。コーヒーは「カフェネグロ(ソロ)」がブラックコーヒー、これはデミタスで出てくる濃いもの。ここに少量の温めたミルクを入れたのが「コルタード」。なぜかコルタードは決まって小さなガラスの取っ手なしグラスに入って出てくる。スペイン人はこれらのコーヒーに何かのアルコール(リキュール)を入れたのをよく飲む。(姉のBARでもそういう注文をよく受けたが、スペイン人は語尾が不明瞭な人が多く、私には全く分からないことが多かった!)大きなカップのミルク入りコーヒーは「カフェコンレーチェ」。これは朝飲むことが多い。あと(複雑だな~)と思ったのは、「カフェイン抜き」コーヒーの存在。カフェイン抜きには、通常のコーヒーのように粉状のものをエクスプレッソのマシーンで抽出するものと、小さな袋入りのインスタントのものと2種類あって、人によって指定してくるのが違うのだ。それを「コルタードにして」とか、「ホットミルクにカフェイン抜きの袋をそえて」とか結構注文が細かく入り組んでいるので慣れるのに苦労する。コーヒーの飲み方の多様さは、フランス人の比ではないような気がした。  


 以上、勝手な意見を書き付けてみた。カフェ1つを取ってみても隣の国同士なのになんと違うことか、と思う。でもどちらにも共通して言えることは、フランスのカフェも、スペインのBARも、どちらも街の文化を担う必要不可欠なものということだ。日本の喫茶店とはどちらもかなり違う。なぜかというと日本の場合は、「誰と」あるいは「何かするために」そこに行く方がより重要で、喫茶店の雰囲気や従業員は「背景」でしかない事の方が多いから。フランスのカフェやスペインのBARは、その「箱」自体を目指していくのだ。なぜなら、それが生活の一部だからである。     


 

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Author:ikuko
栃木県宇都宮市出身。1993年2月よりフランス在住。現在パリ郊外に住んでいます。

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